老齢厚生年金の支給開始年齢が引き上げられていることに伴い、60歳以降の高齢者就労場所の確保は引き続き社会的な課題となっています。60歳以降も、週20時間以上で働いている限り雇用保険(いわゆる失業保険)には加入継続しますが、辞めるタイミングによって失業保険給付の内容が異なることに注意が必要です。
64歳までに退職する場合
64歳までに退職する場合は「基本手当」という失業保険が支給されます。基本手当は、雇用保険をかけていた期間により、基本手当の支給が基本手当日額の90日分(被保険者期間10年未満)、120日分(被保険者期間1年以上20年未満)、150日分(被保険者期間20年以上)と変わります。雇用保険の加入期間が長いほど給付日数が多くなります。
65歳以降に退職する場合
一方で、65歳以降に退職した場合、基本手当でなく「高年齢求職者給付金」という失業給付がなされます。「高年齢求職者給付金」は、雇用保険をかけていた期間により、30日分の一時金(被保険者期間1年未満)か50日分の一時金(被保険者期間1年以上)となります。
両者を比較すると、同じ「失業者」でも給付日数に差があることがわかります。
64歳までに退職して失業保険をもらった方がいいか?
失業保険だけを見ると64歳までに退職した方が得に見えますが、「会社からの給与」「老齢厚生年金」「退職金」などその他の金銭にも影響するため一概に得とは言い切れません。
例えば早めに退職することでもらえる給与は少なくなりますし、64歳未満の基本手当を受給している間老齢厚生年金が支給停止になるという制度もあります。また、在籍年数が退職金に影響することもあるでしょう。退職時期がある程度コントロールできる場合、これらを多方面から考えてベストなタイミングを決めていくと良いでしょう。
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