「有給休暇を取るのに理由はいらない」、「上司から有給を取得する理由を尋ねられたとしても、答える義務はない。」という考え方がありますが、従業員から有給取得の申し出があった場合はどんな時も理由を聞いてはいけないのでしょうか。
・時季指定権
労働者が有給を請求するのはいわゆる「時季指定権」という権利として労基法で補償されています。この権利が常に優先するなら、理由によらず労働者は有給を取れることになりますが、実際には会社にも「その時期は忙しいから別の日に変えてくれ」という権利(時季変更権)があります。また、一方で民法1条3項には「権利の濫用は、これを許さない。」とあります。
つまり、会社側の時季変更権の優先度が高いかどうか、並びに労働者の有給休暇の時季指定権が権利の濫用かどうかを判断する場面では、理由を聞くことが認められることもあるでしょう。
(ちなみに、労働基準法には、労働者から会社に「理由を聞かれても答える義務がない」のも確かですが、「理由を聞いてはいけない」という規定があるわけでもありません。ケースバイケースということです)
有休の理由を聞く意味
有給休暇の理由を尋ねる一つの基準としては、申請期限を過ぎて直前で申請してくる場合でしょうか。
多くの会社では就業規則で、有休を取る際は1週間とか10日前までに申請するよう定めているかと思いますが、そうした期限を無視して有給申請をしてくる場合は、労使の信義則により理由を尋ねても良いのではないでしょうか。
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