top of page
  • 執筆者の写真やなばら

損害賠償金を賃金から控除できるか

賃金の全額払いの原則により、法定福利費以外のものを天引きするためには労使協定が必要ですが、会社の備品を壊した時の修理代など「損害賠償金」は天引きして良いでしょうか。

賠償予定の禁止

前提として、労働者に対して損害賠償を予定することはできません。例えば一定期日前に退職したら賠償金◯◯円を払う、会社備品を壊したら一律◯◯円を払う、などの会社ルールを定めること自体が違法です。ただし、実際に発生した損害に応じて賠償請求をすること自体は可能です。

修理代全額を控除して良いかはわからない

前述の通り実費を計算して労働者に損害賠償請求はできるものの、100%本人の責任と認められることは少ないでしょう。雇用している労働者の管理監督責任や物品が壊れないよう職場環境を整えておく責任は会社にあるわけで、損害額の100%をそのまま従業員の賃金から控除することは過剰な天引きとなり、全額払いの趣旨に反する恐れがあるためです。

物品の破損に対する労働者の弁償については、その状況によりますが損害額の3割から最大でも5割程度になると考えた方が良いでしょう。

会社備品の修理代や顧客トラブルにかかる解決に関する損害賠償金は、例え労使協定に定めがあったとしても、事案ごとに会社と労働者が個別に協議して決定し、その都度従業員の合意を取っておくようにしましょう。

閲覧数:29回0件のコメント

最新記事

すべて表示

労働基準法上の年少者は、満18歳未満の者を言います。おおむね高校卒業までの者を雇用する場合は通常とは異なる取扱いが必要なことがあります。 最低年齢 年少者の内、児童(満15歳に達した日以後、最初の3月31日が終了するまでの者、一般的に中学生)については、原則として労働者として使用することが禁止されています。 ただし例外的に以下の場合に限り、必ず監督署長の使用許可を得た上で労働させることが可能とされ

結婚やお葬式など従業員の冠婚葬祭に際して与えられる休暇を慶弔休暇と言いますが、その慶弔休暇は法律上必ずしも与える必要はありません。 休暇について労働基準法では年次有給休暇について定められているのみで、他の休暇については事業所ごとにルールを定めれば足ります。(育児介護休業法などによる休暇を除く) この意味で「我が社には慶弔休暇制度はないから、冠婚葬祭で休む際は自身が持つ年次有給休暇を使用してください

令和3年度の協会けんぽの調査レポートが公開されました。 傷病手当金のデータについて、傷病手当金の受給の原因となった傷病別に件数の構成割合をみると、精神及び行動の障害が32.96%で最も高いことがわかりました。 男女別にみても、男女ともに精神及び行動の障害が高く、男性では 29.39%、女性では 37.15%となっていました。 傾向 年度別に傷病手当金の受給の原因となった傷病別の件数の構成割合をみる

bottom of page