賃金の全額払いの原則により、法定福利費以外のものを天引きするためには労使協定が必要ですが、会社の備品を壊した時の修理代など「損害賠償金」は天引きして良いでしょうか。
賠償予定の禁止
前提として、労働者に対して損害賠償を予定することはできません。例えば一定期日前に退職したら賠償金◯◯円を払う、会社備品を壊したら一律◯◯円を払う、などの会社ルールを定めること自体が違法です。ただし、実際に発生した損害に応じて賠償請求をすること自体は可能です。
修理代全額を控除して良いかはわからない
前述の通り実費を計算して労働者に損害賠償請求はできるものの、100%本人の責任と認められることは少ないでしょう。雇用している労働者の管理監督責任や物品が壊れないよう職場環境を整えておく責任は会社にあるわけで、損害額の100%をそのまま従業員の賃金から控除することは過剰な天引きとなり、全額払いの趣旨に反する恐れがあるためです。
物品の破損に対する労働者の弁償については、その状況によりますが損害額の3割から最大でも5割程度になると考えた方が良いでしょう。
会社備品の修理代や顧客トラブルにかかる解決に関する損害賠償金は、例え労使協定に定めがあったとしても、事案ごとに会社と労働者が個別に協議して決定し、その都度従業員の合意を取っておくようにしましょう。
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