基本的なポイント
就業規則などの定めにもよりますが、重大な経歴詐称は解雇理由となり得ます。例えば業務に関連する資格を実は持っていない場合などは、想定していた仕事を任せることができないため解雇もやむを得ないでしょう。ただし逆に言うと、経歴詐称したとしても実際の業務に支障ない場合は、それによって会社に不利益が生じていないため解雇は難しくなります。
精神疾患歴は「重要な経歴」となるか
精神疾患歴を偽ったことが問題となった過去の裁判では、精神疾患歴を隠して入社し、後日、そのことが判明した場合でも精神疾患が軽度であり、労働能力の判定に及ぼす影響が少ないようならば仕事に影響が無い、と判断され解雇無効とされた例があります。
精神疾患の通院歴を隠したことが「詐称」となるか
また、そもそも精神疾患の通院歴について「尋ねられなかった場合は答えない」こともあるでしょう。これが意図的に通院歴を隠したと言えるかどうかもポイントでしょう。
診断書を求めたり、ストレートに病歴を尋ねたりすることが憚られる場合は、任意の「病歴申立書」のようなアンケートを採用選考時の資料としてもらうと良いでしょう。その申立書に「精神疾患の経験があるかないか」を尋ねることで、確認をしたことを客観的に記録できます。
なお、病歴申立書をもらうことは、健康状態が採用の合否を決める重要な要素であるため問題はありません(常識はずれのプライベートな質問だと問題になるかもしれません)。
もっとも、選考の段階では雇用していないので、申立書の提出は任意としたほうがよいかもしれません。申立書提出を拒否された場合は口頭で「仕事内容は〇〇で、職場環境は◯◯ですが、あなたの健康上配慮すべきことや気になることはありますか?」と尋ねたりしても良いでしょう。
平和的解決が望ましい
上記のことを踏まえた上で、実際に入社後に精神疾患の罹患歴が判明した場合、それが仕事に影響がどの程度あるか、配置転換などの配慮をすることができるか、などを総合的に考えた上で対処方法を平和的話し合いのもとで決めていくことが望ましいでしょう。
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