労組法は、「使用者が雇用する労働者」の代表者と正当な理由なく団体交渉拒否した場合を不当労働行為になると規定しています。ということは解雇した者は労働者ではないため、一見会社側は解雇した者が属する労働組合の団体交渉の要求を拒否できるようにも思えます。
しかし、例えば解雇そのものを不当だと相手方から主張されている場合や、在職期間中の残業代未払いなどについての交渉などの場合、労働者保護の観点から一般に団体交渉拒否をすることはリスクがあります。つまり「もう労働者じゃないから団体交渉を拒否する」と対応した行為が不当労働行為となる危険性があります。また、解雇した者が解雇・雇い止めの「後に」労働組合に加入した場合であっても同様に拒否できないものと考えた方が良いでしょう。
ただし、退職後、相当の時間が経った後に合同労組に加入し、団体交渉された場合は、そもそもの団体交渉権を否定し、団体交渉を拒否することができる可能性もあります。
いずれにせよ弁護士や社労士など専門家に相談しながら、事案ごとに慎重に対応する必要があります。
団体交渉の対象となる協議事項
団体交渉事項としては、主に以下のような事項があります。
・報酬(賃金や退職金など)
・労働時間
・休憩時間や休日、休暇
・人事行為(配置転換や懲戒、解雇などの基準)
・災害補償や安全衛生
・組合活動に関すること
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