近年ますます増えているのが、うつ病などメンタル疾患による休職です。メンタル疾患による休職の申し出があったときに会社が注意すべきポイントについて整理します。
5、配置転換や職種変更に関するトラブル
休職の期間満了時に、労働者が本来業務に就く程度に回復していなくとも、今後回復が見込まれる場合には、軽減な業務に一時的に就かせて様子を見るなどの「通常復帰のためのリハビリ」義務が会社には安全・健康配慮義務の一環として求められます。
会社は休職前の職種に戻すのか、まずは他の軽微な業務に一定期間配置転換するのかを判断していきます。この「軽微な業務への配置転換」についても、前提となるのは「元の業務に復帰させるための準備段階としての一時的なもの」という考え方になりますので、そのままその仕事に永続的に配置するというのは通常相応しくありません。(もちろん本人から配置転換を希望する申し出があった場合は配置転換しても良いでしょう。)
配置転換については復帰後のトラブルにつながりやすい事項です。医師の診断書、復帰者を迎いれる同僚の意見、上司の意見などを総合的に勘案して配置を決定しましょう。
6、賃金・退職に関するトラブル
休職中の賃金が支払われない場合、健康保険での傷病手当金(健康保険法99条)を受給することができます。定期的な補償となるように、給与の締め日に合わせて医師の労務不能証明を取得させ、毎月支給申請手続きを会社が行う流れが望ましいでしょう。
就業規則に定めた休職期間を満了しても病状が回復しない場合、労働契約上は「本来契約した役務を(自分の病気のせいで)提供することができなくなった」ことになるので、自然退職として取り扱うことが可能です(就業規則上の根拠は必要)。この「自然退職」という言葉は法律用語ではなく、解雇と区分するために用いられます。自然退職とする場合は、事前に休職中のケア、復帰に向けたケアなど会社側が誠意ある対応を尽くした上で穏便に退職となるように心がけるべきでしょう。
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