近年ますます増えているのが、うつ病などメンタル疾患による休職です。メンタル疾患による休職の申し出があったときに会社が注意すべきポイントについて整理します。
3、精神疾患での休職トラブル(休職中)
休職中、会社から病気療養を理由に休職を認められているわけですから、労働者には治療に専念する義務があると解されます。精神疾患の場合はこの治療専念の判断が難しくなります。例えばS N Sで旅行に出掛けていた場合、会社としては「病気といいつつ遊んでいるじゃないか」と不信に思うこともあるでしょう。しかし、精神疾患の治療の一環として、環境を変えて精神安定を図っていた、という説明も成り立つ可能性があります。
できることといえば現状の確認です。会社は労働契約の当事者であるわけですから、少なくとも休職中労働者の療養現状を把握するために必要な質問をしたり、報告を求めたりすることができます。精神疾患であることを配慮しつつ、過剰にならない範囲で病状報告をさせると良いでしょう。
4、復帰の際のトラブル(出口)
休職期間中に病気や精神疾患から回復(治癒)して、会社での労働が可能になれば休職は満了し、会社への復職になります。この「病気や精神疾患が回復(治癒)したかどうか」という点が最も多いトラブルです。
休職に関する労使トラブルが訴訟にまで発展した場合、裁判では「傷病の休職期間の満了時に従前の業務に復帰できる状態ではなくても、より軽易な業務には就くことができて、労働者からそうした業務での復職の希望がある場合、使用者は現実に配置可能な業務の有無を検討する義務がある」と判断する傾向にあります
(片山組事件-最高裁平成10年4月9日第一小法廷判決)。
復帰ができるか否かの判断については、再び医師の診断書を根拠としますが、こちらも休職開始時同様に会社が指定する医師にセカンドオピニオンを求めることができます。
Comments